飲食店を開くための物件を探すためには、どんなコンセプトの店舗を開きたいのか明確にしておく必要があります。その上で物件探しを始めれば、最適な物件も見つけやすくなります。
では、実際どうやって物件探しをすれば良いのか、注意点や押さえておきたいポイントなどに触れながら解説していきましょう。

◆地域の不動産会社で物件を探す方法

飲食店として利用する物件の探し方は色々ありますが、オーソドックスなのが地域の不動産会社で探す方法です。
インターネットで探すのも良い方法ですが、地域の不動産会社を利用するとインターネット上で公開されていない物件を知ることができるというメリットがあります。ネット上には多くの物件情報が公開されていますが、それが全てではありません。不動産会社ごとに、独自の物件を保有しており、それをネット上に公開していない場合もあります。こういった、掘り出し物の物件が見つかる可能性があるというのは、大きなメリットと言えるでしょう。
また、不動産会社の人に直接話を聞くことで、地域の家賃相場が把握しやすくなります。地域の不動産会社というのは、その地域に特化していることが多く、そのエリアの様々な物件情報を保有しています。ネット上だと全国各地の物件が見られますが、地域ごとに相場を比較するのは意外と大変です。相場を知ることで、自分が見ている物件が安いのか高いのか把握しやすくなります。飲食店を開く際は、費用面にも考慮する必要があるため、相場価格を把握し比較することは大切です。
地元の不動産会社なら、その地域の特性や競合店の事情まで知ることができます。自分と同じ系統の飲食店が周りにどの程度あるのか、どういったお店が人気なのかなどの話が聞けるかもしれません。その地域に詳しいプロに直接話が聞けるというのは、ネットにはなかなかない魅力です。

◆インターネットを使った物件の探し方

インターネットを使って物件探しするのも良い方法です。
インターネットを使った探し方の一番のメリットは、気軽に検索ができるという点でしょう。不動産会社で探すとなると、店舗まで出向くのに時間と手間が掛かります。物件は何件も見て比較する必要があるので、これではかなりの時間が掛かってしまいます。インターネットを使えば、家にいながらいつでも簡単に物件情報を仕入れることができます。一つの不動産会社が抱えている情報だけでなく、全国各地にある物件を見て比較ができるので非常に便利です。一度に複数の物件の比較ができるというのは、物件選びの諸段階では大きなツールとなります。まずはインターネットで色々な物件を見て、自分好みの物件がないか探してみると良いでしょう。
しかし、気になる物件があった時は、直接問い合わせて内見することが大切です。ネット上の情報だけでは分からない部分も多くあります。写真や書面を見て良いと感じても、実際訪れてみたらイメージと全然違ったというケースも良くあることです。最終的には自分の目で確認し、本当に良い物件かどうか見極めるようにしましょう。

◆店舗のコンセプトを明確に決めておく

物件探しを始める前に、店舗のコンセプトを明確に決めておくことも重要です。
どんなに良い物件でも、自分が思い描く店舗のコンセプトと合っていなければ意味がありません。例えばひっそりとした場所に大人な雰囲気のお店を開きたいと考えているのに、価格が安くスペースも広々しているなど良い条件が揃っているからといって、人通りの多い立地の派手な物件を選んでは活用しにくくなります。
また、コンセプトがはっきりしていないと、いざ物件選びを始めた時に色々な物件に目移りしてしまい、物件選びに時間がかかってしまうこともあります。スムーズに物件選びを進めるためにも、コンセプトをはっきりさせることは大切というわけです。
どういったコンセプトにするかで、資金計画や集客方法にも影響が出てきます。そのため、開業準備をする初期段階で、しっかりとコンセプトを練っておくようにしましょう。

◆物件をチェックするときのポイント

物件の中には、飲食店不可の物件も意外と多くあります。飲食店を開業するための物件を探している時は、事前に不動産会社によく確認しておくようにしてください。また、飲食可と書いてあったとしても、喫茶店やカフェなどの軽飲食のお店しか開業できない場合もあるので、物件選びをする時は注意が必要です。
どんな条件の物件を探すかは人それぞれですが、飲食店を開くためには立地条件も重要な要素です。アクセス性の良さは集客に影響するので、どんな場所の物件を選ぶかは身長になる必要があります。しかし、人通りが多い場所や道路に面した1階の店舗など、一見アクセス性が良く集客に繋がりやすそうな条件であっても、自分にあった物件であるとは限りません。どういった雰囲気のお店を開きたいのか、どんな客層をターゲットにするかでも、最適な条件は変わってきます。
自分の求めている物件を選ぶためにも、事前にどういった客層をターゲットにするか決めてから、それに合った物件を探すようにしましょう。

◆物件の賃料に対する考え方

物件を選ぶ時は、どのくらいの賃料で借りられるのかも重要です。賃料は毎月支払うことになるので、お店を経営していく上で見過ごすことはできません。
どの程度の賃料が良いのかは、開くお店の種類や開業資金などによって変わりますが、一般的には売上の10％程度が目安となります。良い条件の物件であっても、賃料があまりに高すぎると開業した後に支払いができなくなるということになりかねません。大切なのは、身の丈にあった賃料の物件を選ぶことです。そのためにも、まずは売上や収益予測を試算しておくと良いでしょう。売上の目安が立てば、どの程度の賃料の物件なら借りても大丈夫なのか、だいたいの予想がつきます。
忘れてはならないのが、物件を借りるには賃料以外にも様々な費用がかかるということです。敷金や礼金、保証金や仲介手数料など様々な費用がかかります。どの程度の費用がかかるかは、不動産会社や借りる物件によって様々です。敷金や礼金などは、賃料の何ヶ月分かで決まっていることが多いので、高い賃料の物件を選ぶと取得費用もかさむことになります。
店舗物件の場合は、だいたい賃料の10ヶ月程度の金額を見積もっておきましょう。

◆複数の物件を比較して最適な場所を選ぶ

より良い物件を選ぶためには、なるべく多くの物件を比較することが大切です。物件を探し始めて、すぐに良い物件が見つかったとしても、それで決めてしまうのは考えものです。もしかしたら、他にもっと良い物件が見つかるかもしれません。また、同じような条件の物件であっても、賃料や設備の違いなどがあるので比較することは大切です。
たくさんの物件を比較するのは大変なことですが、おろそかにすると開業した後の経営にも関わってきます。どんなに技術がありサービスが良くても、物件が悪いとなかなかお客さんが集まらないということもあります。飲食店の経営を成功させるためにも、物件選びは慎重に行いましょう。最近はインターネットで気軽に物件探しができるので、拘れば良い物件も見つかりやすくなりました。まずはインターネットで色々な物件を見て、気になる物件があったら不動産会社に行って内見してみるという探し方が良いでしょう。
飲食店に適した物件というのは、住むための物件とは求める条件も変わってきます。まずは自分がどんなお店を開きたいのか明確にし、それを実現させるためにはどういった物件で営業する必要があるのかを考えてみましょう。それに合わせて物件探しをし、複数の物件を比較して最適な場所を選ぶようにすることが大切です。