飲食店の経理について特徴を理解しておく

飲食店の経理について特徴を理解しておく

これから飲食店の開業を考えていたり、実際に飲食店を運営している人も多いでしょう。飲食店の経理は、一般的な企業が行う経理とは異なる特徴を持っています。今回は、飲食店の経理について、現金主義や減価償却の仕組みと捉え方を解説していきます。

 

◆経理の基本は「現金主義」である点を把握しておく

 

まず第一に、居酒屋の経営における経理の基本は「現金主義」である点を押さえておきましょう。飲食店での経理の特徴は、毎日現金で収入が入り、支払いも現金が出ていく場合が多いという点が挙げられます。そのため、「現金商売」と呼ばれています。
また、もう一つの特徴は飲食店におけるコスト。具体的なコストは3種類で、材料費と人件費、そして経費です。収益と費用を認識する方法には、現金主義の他に発生主義と実現主義の3種類が存在します。このうち現金主義は、収益および費用の計上に関して、入金のあった日と支払いを行った日を収益および費用の計上日にする方法。この方法では、預金通帳と現金出納帳における金額の増減と、収益と費用の動きが一致しているという特徴があります。現金主義は分かり易くてシンプルな反面、期間ごとに収益を把握したい場合には適切ではありません。
年間売上高が300万円以下である青色申告事業者で、適用を受ける年の前年3月15日までに所定の届け出が完了している事業者だけに、現金主義で経理処理を行うことが認められています。ただし、青色申告者の特典とされる65万円の特別控除が受けられません。小規模の飲食店では、現金主義で経理処理を行っている店も多いです。
一般的に、財務会計における基本は発生主義です。そのため、通常の企業では発生主義で経理を処理することが決められています。収益と費用が認識されるのは発生した時点で、両者を対応させながら計上するのが会計上のルールです。発生主義では現金の動きとは関係なく、請求書あるいは領収書が発生した日をベースにして記帳計上を行います。企業会計における損益計算書および貸借対照表は、発生主義で処理されます。なお、実現主義は商品を顧客へ引き渡した時点で収益を計上すべき、という考え方です。
 
 
減価償却に対する理解を深める
 
 
減価償却は、厨房の設備など高額なものを購入した際、それぞれの耐用年数に従ってその費用を毎年分割し、費用という形で損金算入を行うことです。「減価償却費」は、経費としてその年に計上が可能な金額を指します。この減価償却費は、事業主が十分に理解しておく必要がある重要な経費項目と言えるでしょう。
一般的に、店舗の改装費や厨房設備、車両購入費などは高額です。その支払いを行った時に、一度に全額を経費に計上することは通常認められていません。税法が定める期間に応じて、その後何年かの間、少額を毎年経費として配分することになります。減価償却費について把握しておきたいポイントは、決算書で計上される経費の金額とお金の動きが大幅に異なる点です。そのため、損益計算書上ではお金の動きを把握しにくくなっています。
また、金融機関から設備投資を目的とする資金を借り入れた時、元本返済額は経費にはなりません。ちなみに、一般の厨房設備の耐用年数は8年とされています。
 
 
◆試算表の読み方をマスターしておく
 
 
試算表とは、月次の貸借対照表および損益計算書を指します。月次決算書と捉えておけば理解しやすいでしょう。複式簿記により仕分けられた伝票を集計することで、貸借対照表と損益計算書ができます。試算表の作成を行うことで、賃借のバランスだけでなく収益と経費のバランスを適切に把握できます。なお、現在は優秀な会計ソフトが数多く販売されており、現伝票さえ正しく入力すれば貸借対照表と損益計算書のアウトプットも容易です。試算表を正確に毎月作成すれば、商売を進める上で必要なデータが得られる仕組みになっています。
残高科目を見れば、店舗の財産がどれくらいあるかを把握できます。残高科目で左側(借方残高)に記載される数字は、飲食店の資産を示すもの。飲食店の資産とは、現預金および売掛金残高の合計です。一方、貸方残高は飲食店の負債を表し、借入金残高と買掛金残高の合計です。仮に負債が飲食店の資産を上回るような場合は、経営が危機的な状態であることを示しています。損益科目から、期間中に店舗がどれくらい収益を出しているかが理解できるので、貸方残高の合計より借方残高の合計が上回っていれば飲食店が赤字になっていることを示しています。
 
 
◆キャッシュフローを円滑にするポイント
 
 
飲食店の経営を安定させるために重要になるのがキャッシュフローです。損益計算書上では売上が伸びているように見えても、資金繰りを十分にコントロールしていなければ「黒字倒産」に陥ってしまう可能性もあります。店舗の経営状態が健全かどうかを判断するためにも、キャッシュフロー計算書を作成して、資金の流れを把握しておきましょう。
キャッシュフロー計算書は、「決算書」を構成している書類の一つ。あらゆる会社には決算書を作成する義務があります。決算書とは会社の状態を数値化したもので、経営の状況を判断する目的で用いられます。会計期間中における現金の流れを、数値で表した書類がキャッシュフロー計算書です。簡単に説明すると「会社にどのくらい現金があるのか」が分かる書類で、一般家庭で言えば家計簿に似ています。
キャッシュフローを円滑にするには、入金および支払いのバランスを上手に調整することが大切です。店舗を運営するための運転資金が十分に確保されているかどうか、常にチェックしておく姿勢が大事です。運転資金に不足が生じている際は、資金調達の方法を早めに検討する必要があるでしょう。現在は、フードアカウンティング協会と提携して飲食店支援を行っている税務会計事務所も存在していますので、そのような会計事務所に相談するのも一つの方法です。
 
 
経理を正しく行って経営に生かしていく
 
 
先程触れた通り、飲食業の経営では現金主義と発生主義、減価償却や試算表、キャッシュフローなどを深く理解しておくことが必要不可欠です。これらの項目は店舗を営む上で根幹を成す要素。経理を正しく実施していくことが、経営を改善することに繋がっていきます。いつまでもどんぶり勘定を行っていては、せっかく利益を創出する機会を得ても逃してしまう行為となり、飲食業を営む指針を得ることもできません。
経理を正確に処理することは、経営状態を正しく把握するためにも必要なことです。会計処理の基本が実行されていれば、黒字倒産は避けられるはずです。また、どんぶり勘定はもちろん、店舗と自分自身の財布を混同するという事態も未然に防止できます。必要に応じて、税理士など外部の専門家からアドバイスを受けることも大切です。
 
 
安定した経営は経理から始まる
 
 
飲食店の安定した経営を目指すためには、日々の経理を軽んじることなく的確に行っていく必要があります。経理の仕組みを正しく理解し、試算表など店舗の経営に欠かせないデータ処理は必ず励行することです。とりわけキャッシュフロー計算書は、経営状態を確認するために必要な書類です。営業および投資、財務などそれぞれの分野で数値が表す意味を理解して、経営の安定化に活用していきましょう。
もし、努力をしているつもりでもなかなか成果が見えない場合には、飲食店に詳しい税理士に相談すると、経営に関する適切なアドバイスを得ることができます。飲食業には飲食業に精通している税務会計事務所の支援が有効です。販売促進に関する助言をはじめ、メニューの開発まで幅広い相談に応じてもらえるメリットがあります。
 
 
『参考URL』
 
【1段落から6段落まで】https://works.sagooo.com/writing/text/work/tips/25789/793380
【2段落】https://works.sagooo.com/writing/text/work/tips/25789/793380
https://recipe-book.ubiregi.com/articles/inshokuten-keiri-point/#1
【3段落】https://recipe-book.ubiregi.com/articles/inshokuten-keiri-point/#1
【4段落】https://sogyotecho.jp/cf/?sp=more
【5段落】https://recipe-book.ubiregi.com/articles/inshokuten-keiri-point/#1
【6段落】http://ochi-kaikei.com/dining/
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