飲食店経営における会社設立のメリット
飲食店を経営する際に、法人にするか個人事業主か悩むこともあるでしょう。飲食店は会社として経営する手段もあります。そこで、飲食店経営で会社を設立するメリットや注意点をご紹介しますので、参考にしてみてください。
◆個人経営から会社経営に切り替えるポイント
飲食店は個人経営からも始めることができます。その後、個人経営から会社経営にすることを法人成りというのです。もし、個人経営で安定した利益の確保ができるようになったら、会社を設立するタイミングになるでしょう。その理由として、個人経営では所得に応じた所得税を支払うからです。法人になると一定率の法人税になるので、一定額の利益を超えると法人の方が支払う税金は低くなるのです。年間利益が、約500万円を超えたぐらいから法人になることを検討するといいでしょう。利益の増大に伴って、節税対策や事業承継を考えるようになった時も、会社経営に切り替えてメリットを活用するタイミングです。
◆会社を設立するメリットと注意点
飲食店で会社を設立するメリットは「利益が多いと節税の可能性が高まる」です。法人になると一定率の法人税を支払うことになります。所得に応じた所得税を支払う個人経営よりも、納税額を低くできる可能性があるのです。つまり、節税に繋がります。また、「対外的な信用度の増加」もメリットでしょう。信用度が高くなると、融資やテナントを借りる時に有利です。「株式発行で資金調達」も可能になります。法人で株式会社にすれば、株を購入した人からの資金が集まり事業展開もしやすくなるのです。個人経営で赤字になった場合、純損失は翌年から3年間までの繰り越しができます。法人経営で赤字を計上した時には、翌年以降10年間の繰り越しが可能です。期間の違いもありますが、法人の場合は事業拡大やその他の事業で黒字を出すなどの可能性もあり、赤字を繰り越ししても廃業する可能性は低くなります。
会社を設立するデメリットは「設立までに費用や手続きが必要」なことです。会社を設立するには、商号や定款の作成、登記申請など様々な手続きをします。また、「帳簿や決算書の作成」も必要になるでしょう。個人経営でも帳簿の作成はしますが、法人の方が詳細に作成することになります。経理に専門家などを依頼する場合は、その費用も掛かるでしょう。「赤字でも年間約7万円の税金負担」があることもデメリットです。さらに、「雇用している人を保険に加入させる必要」があり、社会保険料の負担も発生します。
◆節税対策を効果的に行うことができる
飲食店で会社を設立することで、効果的に節税対策ができます。何故なら、個人と法人では支払う税金の種類が異なるからです。個人では「所得税と住民税・消費税・個人事業税」の4つを支払います。所得税は1年間の総収入金額から必要経費や控除を引いた金額に課される税金です。個人経営では法人よりも必要経費としての幅が低くなってしまいます。また、売り上げが高ければそれだけ税金も高くなってしまうのです。法人が支払う税金は「法人税と法人住民税・法人事業税・地方法人特別税・消費税・固定資産税」になります。支払う税金の種類は多いですが、法人税は所得税よりも税率が緩いです。また、多くの控除や免除もあります。年間で約500万円以上の利益が出るようになると、法人税の方が税率は低くなるのです。法人では役員報酬などを「給与所得」として扱えます。個人経営では事業所得になるでしょう。一方で法人の場合は給与所得となり、役員の給料は利益ではなく費用として計上可能です。法人の方が、必要経費にできる幅も広いので、それらを利益から差し引くこともできます。例えば、個人経営で経費にできるものは消耗品や交通費、接待費、光熱費などです。法人はそれに加えて、給料や保険料、住宅費、日当なども認められています。会社を設立することで、減価償却費の計上ができるのもメリットです。減価償却とは一度に費用とせず、数年に分けることをいいます。不動産や自動車を購入した時、初年度に全て計上してしまうと大赤字となってしまうでしょう。そこで、費用を数年に分散して計上できるのです。法人では設備の融資を減価償却費として計上できるので、最初の年が大赤字になるのを防いでくれます。
◆対外的な信用度が向上するため事業展開が行いやすい
会社を設立することは、外交的な信用度の向上にも繋がります。信用度が高いと、事業展開もしやすくなるので経営で有利になるのです。例えば、飲食店を経営する時に銀行から借り入れをする場合があるでしょう。銀行はある程度の利益が確保されていることを融資の条件にしています。つまり、個人経営で利益が安定していない状態だと、融資を受けにくくなるのです。銀行は融資を依頼された時に、法人と個人で審査に差をつけることはありません。しかし、融資制度による個人責任に違いが出てきます。個人経営で事業が傾いてしまうと、融資の責任はその個人に帰属します。つまり、その人が借金などをして返していかないといけないのです。一方で、法人だと法人自己破産などがあるので、個人の生活に影響を及ぼすことはありません。融資の審査を受けられるには、個人と法人で差が出ることもあります。個人経営の場合、すぐに融資申請ができるでしょう。飲食店を始めたいと思った時に申請をして、審査を受けることができます。もし、審査に通ったらすぐに仕事が始められるのです。法人の場合は、会社設立をしている時間や法人用の通帳を作る時間が必要になるでしょう。つまり、その手続き期間には審査が通りません。よって、個人経営より審査のスピードが落ちてしまうことは注意点です。飲食店経営のテナントを借りる時にも、法人の方が信用度は高くなるでしょう。駅から近いなど比較的いい条件の物件を借りられる可能性が高まります。出店を行う際には、法人である方が契約しやすいのです。社会的信用度が高ければ、良い人材も確保しやすくなります。法人の方が就業規則や条件を詳しく定めているので、仕事への意識が高い人材を雇用しやすくなるのです。
◆事業承継と合わせて考えてみることも大切
個人経営か法人経営にするかは、事業承継も合わせて考えてみるといいでしょう。事業承継をする予定があるなら、会社を設立していた方がスムーズになるのです。まず、個人経営の経営者が病気や怪我で働けなくなった場合、事業が止まってしまう可能性があります。取引先によっては、取引を中断することもあるでしょう。法人経営にしていれば、経営者が働けなくなった場合でも、後継者を決めて通常通りの運営ができるのです。また、法人経営の方が事業承継時に掛かる税金を抑えることができます。個人資産ではないので、会社の資産として後継者に引き継げるのもメリットでしょう。個人経営の経営者が亡くなった時には、相続財産の保護で預金口座を凍結します。よって預金の引き出しに制限が掛かるでしょう。一方で法人の経営者が亡くなっても、会社の口座になるので、通常通りに使用できるのです。さらに、法人では欠損金を繰り越すことが認められています。もし、後継者の経営が軌道に乗るまで時間を必要としても、長めの猶予期間が設定されているのです。
◆実情を踏まえたうえで会社設立を検討してみる
会社経営と個人経営のどちらにするかは、利益や売り上げ・経費などを総合して判断するといいでしょう。利益が高くなった時は、会社を設立するのも手段です。法人になれば、節税対策や信頼度が増すなどのメリットを活用できます。スムーズに事業承継もできるので、今後の事業展開を考えた上で検討すると良いかもしれません。これらのメリットを踏まえて、利益の増大や事業拡大・事業承継をする時には、会社設立をした方がいいでしょう。
【参考URL】
【1段落】https://www.ita-ohno.com/food/4173/
法人成り|個人事業が法人に移行する時にしっておきたい7つのメリット
【2段落】https://www.ita-ohno.com/food/4173/
【3段落】https://www.ita-ohno.com/food/4173/
法人成り|個人事業が法人に移行する時にしっておきたい7つのメリット
https://www.freee.co.jp/kb/kb-launch/kaisyasetsuritsu-costs/
【4段落】https://www.ita-ohno.com/food/4173/
【5段落】https://www.ita-ohno.com/food/4173/
法人成り|個人事業が法人に移行する時にしっておきたい7つのメリット
【6段落】https://www.ita-ohno.com/food/4173/